「エネファーム」家庭で夢の発電 エコ+高い熱効率…低価格化に課題(産経新聞)

 地球温暖化や資源の枯渇が叫ばれる中、水素と酸素から電気を作る燃料電池は夢のエネルギーといえる。その実用化に向け、各方面で研究や開発が盛んに進んでいる。国内では家庭用の燃料電池が昨年5月、世界に先駆けて本格的に販売。クリーンで熱効率にも優れた燃料電池が家庭のエネルギー事情を大きく変えそうだ。(太田浩信)

 ◆電気を自家生産

 最近、テレビCMなどで「エネファーム」という言葉を耳にする機会が増えている。「エネルギー」と「ファーム(農場)」を合わせた造語で、販売開始に合わせて付けられた家庭用燃料電池の統一名称だ。家庭菜園で自家消費する野菜を作るように、自分で使う電気は自分で作るというイメージから名付けられた。

 電池といっても燃料電池は、電気を蓄えることはできない。都市ガスやLPガスなどの燃料から水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて電気を発生させる。燃料を燃やさないので二酸化炭素の排出量を大幅に抑えることができ、大気汚染の原因物質となる窒素酸化物や硫黄酸化物はほとんど生じない。発電の際に生じた熱も給湯に無駄なく使えるため、エネルギー効率は70〜80%と非常に高いのが特徴だ。

 平成17年度から4年間、全国3307世帯の家庭で燃料電池の大規模実証事業を行った新エネルギー財団(東京都豊島区)によると、19年度のデータでは1世帯当たり平均で最高性能機種を使った場合、消費電力全体の41%を燃料電池から供給し、給湯では全体の82%のお湯がまかなえる。

 では、1軒の家庭で年間にどの程度の省エネ、環境貢献ができるのか。同財団の試算では、エネルギーの削減量は灯油タンク(18リットル)約18個分に相当。二酸化炭素の排出削減量は、約2200平方メートルの森が吸収する量に相当するという。

 ◆5年後の普及メド

 しかし、課題は1台当たり約320万〜346万円という価格。燃料電池普及促進協会(港区)を窓口に国から最大140万円の補助(今年度補助額、募集期間は3月末まで)があるが、燃料電池で節減できる光熱費は年間5万〜6万円程度。各メーカーでは10年間もしくは4万時間の運転を保証期間にしているが、この期間中に節約した光熱費で設置費をまかなえるまでには遠く及ばない。

 また、燃料電池から発電された電力は売電できないが、太陽電池と燃料電池を組み合わせたダブル発電では余剰電力を増やすことができ、売電量が大きくなるメリットもある。ただ、現時点では両電池ともに初期投資の負担が重くのしかかる。同財団燃料電池部の青木亮企画第一課長は「温室ガス削減25%を達成するためには、こうした取り組みが欠かせない」と話す。

 高価格の要因は使用する部品点数の多さや高価な希少金属など。メーカーなどはおおむね5年後を目標に、50万〜60万円程度の機種開発に向けて取り組む構えだ。青木課長は「今は環境について意識の高い人が積極的に導入しているようですが、低価格化が実現すれば爆発的に普及するでしょう」と予測している。

 ■家庭用燃料電池の仕組み

 システムは燃料電池ユニットと貯湯ユニットの2つで構成。発電の仕組みは(1)燃料処理装置で都市ガスなどの燃料から水素を取り出す(2)空気中の酸素を空気供給装置からPEFC(固体高分子形)スタックに供給(3)スタック内で水素と酸素を化学反応させて直流電気を発電(4)直流電気をインバーターで交流電気に変換して電力を供給(5)排熱は熱回収装置で約60度のお湯をつくる(6)お湯は貯湯ユニットにため、お湯が足りなくなった場合はバックアップバーナーから供給する。

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