東京・大手町 ドミノ方式で目指す国際化(産経新聞)

 「私は今、大手町(東京都千代田区)のとあるビルの警備に携わっていますが、最近は再開発の影響かビルを取り壊す工事が多々あります。大手町の未来図を教えてください」=東京都調布市の会社員、広瀬智満さん(47)

 わが国を代表するビジネス街・大手町。皇居・大手門の東に広がる東京ディズニーランドの5分の4の広さに40本以上のビルが立ち並び、銀行、商社、通信、報道機関など大企業の本社機能が集積する。

 千代田区によると、大手町1、2丁目の住民登録人口は「0人」。一方で昼間人口は約7万2千人。近年は外資系企業の進出も進み、西欧人ビジネスマンがアイリッシュパブに集まる風景も日常化した。

 悩みはビル群の老朽化。多くは昭和30〜40年代の高度経済成長期に建てられ、延べ床面積の6割は築35年以上。みずほ銀行大手町本部ビル(旧富士銀行本店)や東京サンケイビルなど単独で建て替えるケースもあるが、現在進んでいるのは、複数のビルを一括で建て替え、跡地に複数のビルが一括で移転してくるという全く新しい再開発方式「連鎖型再開発」だ。

 第1期として昨年、JA、日本経団連、日本経済新聞社の3つのビルが地区の北西にある国の合同庁舎跡地に移転した。第2期はこれら3つのビル跡地約1万4千平方メートルへ周辺の日本政策投資銀行、公庫ビル、新公庫ビル、三菱総研の4つのビルが移転し、平成24年9月の完成予定。第3期は4つのビルのうち3つのビル跡に別のビル群が移ってくることになっている。

 きっかけは12年に合同庁舎が移転したことだった。約1万3400平方メートルというまとまった空き地をどう活用するか−。知恵を絞った結果、出てきたのが“連鎖型”という画期的なアイデアだった。

 「大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会」の中核会員で大手デベロッパー、三菱地所の服部創一広報部参事(40)は「単独で建て替えた場合、仮移転、本移転と引っ越しが2度必要で、そのたびに業務が止まってしまうし、コストもかさむ。連鎖型なら業務を止めることなく効率的に建て替えられる」とメリットを説明する。

 連鎖型再開発は、大手町で働くビジネスマンの間では「玉突き方式」「ドミノ方式」とも呼ばれる。「すでに建て替えの順番は決まっていて、最後は読売新聞社」といったうわさが流れているが、服部さんは「まだ決まっていません」。

 国内外の他都市でもモデルとなりそうな手法だが、同じ時期にそろって老朽化したビルがこれだけ密集している地域は、それほど多くはないという。

 大手町は今、平日、休日を問わず夜中も工事現場の照明が輝き、つち音が響いている。大手ゼネコン幹部によると、夜間人口がほとんどないため夜中も工事が可能で、工期を短縮できる分、安く請け負えるという。

 今回質問を寄せた広瀬さんは6年前から大手町のビルで警備員として働いている。「建設作業員の人たちは夜中まで大変だと思う。ビルが解体され上から低くなっていくと、隠れていた向こう側の建物が見えてくる。街の風景がどんどん変わっていく。10年後、20年後はどんな街になっているのだろう」と期待する。

 大手町の再開発を担う人たちが描くのは「国際金融センター」という未来図だ。4月に着工される連鎖型の第2期では「国際金融拠点機能の強化」を掲げ、あらゆる国のビジネスマンが安心して働けるよう、多国籍語に対応した医療サービス施設を整備する。

 また、みずほ銀行大手町本部ビル跡地に建設中の38階建てビル(平成26年完成予定)には、大手町初の外資系ホテルとしてシンガポールに本社がある「アマンリゾーツグループ」の高級ホテルが進出を決めた。

 服部さんは「大手町は金融や報道機関が集まる情報の街。東京の国際競争力を高めようという意識で取り組んでいる」。かつて米ニューヨーク、英ロンドンと並び称されたトーキョー。大手町の再開発は、国際的な地盤沈下が懸念される東京、ひいてはわが国経済の「再生」をも背負っている。

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